終戦

sun-n2006-10-18

虎の2006年が終わった。
悲喜交々、よいシーズンでした。


先日、2003年優勝時の号外をもらった→。
(中央で舞うのは、星野仙一)
この時、私はなぜかインドにいて、18年ぶりの優勝の瞬間を見逃した。


「今年は阪神が優勝する年だから、私がインドに行ってもおかしくない」
と、よく分からない理由で、
当時インドに住んでいた大学の友人に会いに行った。


インドは、暑くて、過剰で、剥き出しで、
英語もろくに話せない、慣れない環境に戸惑いがちな私には、
とても厳しかった。


取りあえず、よく怒って、よく泣いていた。
それ以外に、自分の気持ちを表す方法がなかった。
無力になった自分は、子どもの頃と少しも変わっていなかった。


眠ること、食べること、移動すること、話すこと、
当たり前のことが、何ひとつ安心してできなかった。
一日でも早く帰りたかったが、それを実行する力もなかった。


一人でバス旅行をしていた時、
自分がこの世にいてもいなくても、何も変わらない気がした。
日本にいてそう思うのとは違って、インドではそれが事実だった。
ドラッグの誘惑も多く、油断すると自分が消えてしまいそうだった。
ここで私が消えても、誰も気づかないし、発見されることもない。
だからこそ、絶対生きて日本に帰らなければ、と思った。


インドのネットカフェから見た日本の日常は、
なんだか楽しそうで、とても遠くに感じた。
とっくに決まっているだろうと思っていた阪神の優勝は、
まだ実現しておらず、
もしかしたらそれまでに帰れるかも知れない、と期待した。
でも、そんな劇的なことはなくて、私が帰る2日前に優勝した。


やっと日本に帰る前の日、あまりにも嬉しくて、
そこにいた人たちの中で、初めて笑って過ごした。


たった2週間の、おかしな旅行。
普通は楽しむために行くんだろうに。
弱っちい25歳の大冒険だった。


私はこの年、インド以外にも、
それまでやらずにいたこと、避けていたことをいくつかやってみた。
「今年は阪神が優勝する年なんやから、何があっても大丈夫」。
そう言い聞かせると、不思議と恐くなかった。


私と虎の変な関係。
野球バカでよかったです。