今年のケーキ
誕生日のケーキは、いつも不二家だった。
近所の不二家がなくなってからも、
変わらずに同じケーキが用意されてたし、
私もそれを喜んで食べていた。
実家を出てからも、誕生日の頃には、
そのケーキを食べに帰っていた。
今年、不二家のケーキは売っているはずもなく、
父が買ってきた、いつもと違うケーキを食べた。
3人で食べるのに、6個のケーキ。
全部いちごがのっていて、
父の中の私は、相変わらずいちごが大好きらしかった。
いつものケーキより、
今年のケーキの方が手が込んでいるし、たぶん美味しい。
でも、小さい頃から食べ続けたケーキには、
何となく特別な思いがあった。
ただの食べ物という以上に、
私たちの暮らしの中に入っていたから。
(写真は、友だちが作ってくれたケーキ)